徘徊中に事故に合ってしまう高齢者は少なくない。
交通事故や転落事故など、昼夜問わずに歩き回るため、いつどこで事故が起こってもおかしくない状況だ。
高齢者の、徘徊の原因となるのは認知症だ。
認知症の症状の一つなので、止めることは困難である。
何故なら記憶障害を始めとして、見当識障害や実行機能障害などの中核症状が原因となり、そこに環境や心意的何かを受けることで周辺症状として徘徊を起こす。
それは本人にしか分らず、見守る家族でさえ理解することは難しい。

そんな認知症高齢者の徘徊が起こした事故などでは、いったい誰が責任を負わなければならないのか。
状況により判断されるが、徘徊高齢者の男性が電車に轢かれる事故が起こったとき、電車運営側が男性の家族に対して損害賠償を請求した。
「監督義務を全うしていない」という理由だそうだが、最高裁では妻も高齢で監督義務者に当てはまらないことから損害賠償請求は棄却された。
しかし監督義務を怠っていないということを明らかに証明できなければ、損害賠償請求されてしまうことも考えられる。
そんな徘徊に備えるには、本人が身につけるものに連絡先が分るものを縫い付けておいたり、事前に地域包括センターや警察、近所などに通報してもらうようお願いしておく方法もある。
また、一緒に歩いてみて、本人が立ち寄りそうな場所をチェックしておくのも良い。
玄関に人感センサーをつけておいたり、GPSがついているアクセサリーなどを忍ばせておくなど、工夫をして見守りたいものだ。