高齢者の徘徊には、さまざまな原因がある。
その中でも前頭側頭型認知症が原因で徘徊することがある。
前頭側頭型認知症は別名FTDと呼ばれ、前頭葉や側頭葉が萎縮して起こる認知症だ。
前頭側頭型認知症はアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症と違って、若年性認知症の原因の一つでもあり、指定難病にも認定されている。
前頭側頭型認知症は若い世代から発症しやすく、症状の初期は人格が変わったり、非常識と思われる行動も平気でしてしまうので、精神疾患ではないかと診断されることもある。

主な初期症状には、自発性がなくなりぼんやりする、知っているはずの言葉が出てこなくなる、感情移入をしなくなり他人を気遣うことが出来なくなる、甘いものをほしがったり食べ物の嗜好が変化するなど、感情のコントロールが上手く出来なくなる特徴がある。
中期になると毎日同じ行動を繰り返したり、集中力が無くなっていきなりその場から立ち去ったりする。
また、相手が言ったことをそのまま返したり、真似をしたりと他人の影響を絵受けやすくなる行動が見られる。
それから症状が悪化すると、動くこともなくなるほど意欲低下が起こり、動かないことで筋力の低下なども起こるため、寝たきりの状態になる事もある。
前頭側頭型認知症の症状は本人に自覚がなく、周囲が気がついたときに医師や地域包括センターなどに相談するといい。
病気の特性を利用することで適切な介護を行い、本人はもちろんだが、介護する家族の負担を減らせるようにすることが出来る。