徘徊による事故やトラブルは、どこに責任があったかが追及される。
介護士側が損害賠償請求を求められる場合には、安全配慮義務違反をしているかがポイントになる。
つまり、施設が認知症高齢者の徘徊に対して、徘徊防止措置を行っていなかった場合に責任を追及されるのだ。
認知症高齢者に徘徊癖があったか、徘徊しようとしたときの監視体制は整っていたか、勝手に外出できないような設備になっていたか、徘徊してしまった場合に早期発見できるような措置がとられていたかなどだ。
これは家族の見守りの中でも同じで、監督義務違反があると損害賠償責任を求められる。

このような徘徊のトラブルを減らすには、認知症高齢者を理解し行動を把握することにある。
徘徊の理由は個人によって異なるので、認知症高齢者の家族から話を聞くなどして過去の生活習慣や、毎日の様子を注意深く観察する。
また、何故徘徊するのか本人に聞くことで徘徊の理由が分かり、認知症高齢者の気持ちを落ち着かせることも出来る。
徘徊を行う高齢者は、不安や焦燥感や生活環境の変化により自分の居場所に帰ろうと行動する場合がある。
この場合は、自分が愛用していたものなどを利用して気持ちを落ちつかせる。
徘徊には必ず理由があるので、その理由さえ分かれば対処法も見えてくるのだ。
また、徘徊が起きてしまった場合でも、早期発見に繋がるよう、GPSを装備させているとか、出入り口にセンサーを設置する。
また地域包括センターや警察と連携をとるなど、日頃から注意が必要である。